とても安くなっている3Dプリンターの選び方とオススメの機種紹介・2024年冬
目次
進化した3Dプリンターの最新機能自動キャリブレーション高速造形Wi-Fi接続・クラウドネットワーク対応高解像度大型カラータッチスクリーン操作静音化&匂い対策多様なフィラメント素材多様な用途趣味・アート制作ファッション・アクセサリーDIYとカスタマイズ製品の作成修理パーツの自作教育・学びのツールキッチン・フードデザイン3Dデータを作成する方法の変化CADソフトの発展と多様化3Dスキャン技術の進化フォトグラメトリ技術テンプレートとオンラインの3Dモデルライブラリの普及AIを活用した3Dデータ生成の可能性2024年秋に注目の3Dプリンターおすすめモデル10万円以下Bambu Lab A1 ComboCreality K1C10万円~20万円Creality K1 MAXBambu Lab P1S Combo20万円~Bambu Lab X1-Carbon Comboまとめ
一昔前、劇的に価格が下がった家庭用3Dプリンターが登場し、一気に注目を集めました。
「一家に一台」などと言われましたが、当時の機器はまだ品質や精度に課題が多く、家庭での利用にはやや難がありました。また、3Dデータの作成や共有もまだ進んでおらず、専門的な知識が多くの面で必要でした。
それから年月が経ち、技術は飛躍的に進化しています。今では、初心者でも扱いやすく、高精度な造形が可能なモデルが増え、価格も非常に手頃になりました。
この記事では、進化した家庭用の格安3Dプリンターの最新情報とおすすめモデルをご紹介します。これを機に、思い描いたアイデアを簡単に形にできる3Dプリンター生活を始めてみてはいかがでしょうか。
ちなみにこの記事は、まったくアフィリエイトリンクを含んでいません。筆者の物欲を正当化するための記事です。
進化した3Dプリンターの最新機能
技術革新により3Dプリンターは大きな進化を遂げ、初心者でも扱いやすく、用途も家庭での小物制作から本格的なプロトタイピングまで多岐にわたっています。また、自動キャリブレーションやWi-Fi対応といった便利な機能も搭載されるようになりました。
自動キャリブレーション
3Dプリンターでは、出力する土台(ベッド)の水平や、ノズルと土台との距離など、出力前に調整すべき点が多くあります。
以前の安価な3Dプリンターでは手工具を使って手動で定期的な調整が必要で、微妙な感覚やコツが必要な作業を何度も繰り返す必要があり、初心者は最初の出力では失敗するのが普通でした。
最近の機種では、手動での調整が不要になったものが多く、初心者でも高精度な造形が可能になりました。
高速造形
以前の機種はとても出力が遅く、速度を上げようとするとモーターやフレームの安定性が損なわれ、失敗率が急激に上昇するため、信じられないほどの長時間の出力を行っていました。
最近の機種ではかなりのスピードアップが図られており、数年前の何倍ものスピードで動作しても安定して高品質の出力が可能です。10年前に1時間かかって出力していたモデルが、いまでは15分程度で出力可能になっています。また、前述のキャリブレーションの効果もあり、機械自体の構造に由来する失敗率は大きく下がっています。
Wi-Fi接続・クラウドネットワーク対応
以前の機種はPCにケーブルでつないだり、SDカードやUSBメモリでデータを受け渡しする必要がある機種がほとんどでした。
最近の機種では、Wi-Fiに接続し、離れた場所からでもデータ送信や操作ができるものがあります。
スマホから遠隔で3Dプリンタに出力させることも可能で、内部カメラを搭載している機種であれば制作状況を遠隔で確認することができます。
高解像度大型カラータッチスクリーン操作
以前の機種は小さなスクリーンの横のボタンでファイル名(アルファベットのみ)を頼りに操作する必要がある機種など、とても直感的とは言えないUIのものが多くありました。
最近の機種では、ネットワーク経由で送ったデータをプリンタ付属の画面で確認してから出力するなど、直感的な操作が可能になり、よりスムーズに操作ができます。
静音化&匂い対策
以前の機種は動作音が大きく、自宅に置くと家族から苦情が発生することも多くありました。
最近の機種では動作音が抑えられ、感覚に個人差はありますが、家庭にも置きやすくなりました。
また、プラスチックの溶けた匂いも、エンクロージャ式(囲いと扉がついているもの)では内部に空気清浄フィルタが設置されており、外に漏れる匂いはかなり軽減されています。
多様なフィラメント素材
高い温度のノズルを備え、土台の温度管理も適切に行えるようになったのもあり、以前からのPLAやABSに加え、金属、木質(木材の粉をプラスチックと混ぜたもの)、バイオ材料(生分解性プラスチックなど)、ポリカーボネートやカーボンファイバー等々、さまざまなフィラメントが使用可能で、耐久性が求められるプロダクトからアート作品まで多様な用途に対応できるようになりました。
多様な用途
近年、3Dプリンターは大きな進化を遂げ、さまざまな用途で活用できるようになりました。以下は、最近の多様な用途の例です。
趣味・アート制作
3Dプリンターを使って、小型のフィギュアやデコレーション用のオブジェなどを制作できます。
例えば、ユニークなデザインのミニチュアや置物などを自分で作成し、部屋に飾ることができます。
造形の自由度が高いため、自分だけのオリジナルアートを手軽に楽しめます。
ファッション・アクセサリー
イヤリングやペンダント、ブレスレットなどのカスタムアクセサリー作りにも最適です。
例えば、好きな模様や形を取り入れた自作アクセサリーを作り、個性的なファッションを楽しむことができます。
DIYとカスタマイズ製品の作成
家庭で役立つ日用品も3Dプリンターで作れます。
例えば、ケーブルホルダーやリモコンスタンド、ペン立てなど、小さな収納アイテムを作成して整理整頓に役立てることができます。
必要なサイズや形を調整できるので、自宅のスペースにぴったり合う便利アイテムを作ることが可能です。
修理パーツの自作
家具や日用品の壊れたパーツを自作して修理することもできます。
例えば、家具の足カバーや取っ手、キャップなど、破損した小さなパーツを3Dプリンターで再現し、交換することで家庭のメンテナンスにも役立てられます。
既製品では手に入らないような部品も作れるため、修理のコスト削減にもつながります。
教育・学びのツール
学習用の教材や子どもの学びに役立つアイテムも作成できます。例えば、立体的なパズルや幾何学のモデル、化学構造のサンプルなどを作って、視覚的な学習をサポートする教材を作ることができます。
また、立体図形の勉強のために立方体や三角錐のモデルを印刷することで、子どもが手に取りながら五感を使って楽しく学べる教材を、子どもの手のサイズにあわせて作ることもできます。
キッチン・フードデザイン
プラスチックを造形する3Dプリンターで食材そのものは印刷できませんが、キッチンで使うクッキーやチョコレートの型などは作ることができます。3Dプリンターで作った型で整形した生地をやいて、個性的なデザインのクッキーやケーキを楽しむことが可能です。
Amazon等で売られている通常のフィラメントは人体に有害な物質が含まれている可能性がありますが、日本国内の食品衛生法に適合したフィラメントも販売されていますので、制作の際にはそちらをオススメします。
このように、プラスチックを造形する家庭用の3Dプリンターでも、さまざまな日常アイテムや趣味の作品を作ることができ、暮らしを豊かにするための道具として幅広く活用できます。
3Dデータを作成する方法の変化
3Dデータを作成する方法も3Dプリンターとともに進化し、ますます手軽で多様な方法が利用可能になっています。以前は、3Dデータを作成するには専門的なソフトウェアやスキルが必要でしたが、現在では初心者でも簡単に3Dデータを作成できるツールが増えています。
CADソフトの発展と多様化
以前は、3Dデータを作るにはAutoCADやSolidWorksといった高度なCADソフトを使うのが一般的でした。これらは専門知識が必要で、習得にも時間がかかりましたが、現在では初心者向けの無料または低価格のCADツールが数多く登場しています。
たとえば、「TinkerCAD」は直感的に操作でき、ブラウザ上で簡単にデザインが可能です。複雑な操作を覚えなくても、ブロックのように形状を組み合わせることで、子どもでも3Dモデルを作成できるようになりました。
3Dスキャン技術の進化
3Dスキャナーの技術が進化し、既存の物体をスキャンして3Dデータを作成する方法も一般的になってきました。スマートフォンでも使える3Dスキャナーやアプリが登場し、手軽に物体の形状を取り込むことができます。
スキャンしたデータを加工して3Dプリンターで出力することで、物体の複製やカスタマイズにかかる時間も減り、プロトタイピングやDIYの可能性が広がりました。
フォトグラメトリ技術
最近では、写真を使って3Dモデルを作る「フォトグラメトリ」という技術も身近になっています。複数の角度から撮影した写真を合成して3Dデータを作成する方法で、スマートフォンのカメラやドローンからの空撮でも対応可能です。
フォトグラメトリアプリやPCソフトを使えば、撮影した写真から立体データを生成できるため、風景や建物、オブジェクトのデジタル保存や共有が容易になっています。
テンプレートとオンラインの3Dモデルライブラリの普及
近年、3Dデータのテンプレートやオンラインライブラリも充実しています。「Thingiverse」などのサイトでは、無料でさまざまな3Dモデルがダウンロード可能です。これにより、デザインスキルがなくても既存の3Dデータを活用して印刷することができます。
テンプレートをベースにカスタマイズしたり、複数のデータを組み合わせて自分の作品にしたりと、創造性を発揮しやすくなりました。
また、3Dプリンタ各社もユーザー向けにデータ共有サイトを公開していて、他の3Dプリンタでも少し工夫すれば出力が可能です。
AIを活用した3Dデータ生成の可能性
最近では、AI技術を活用して簡単なテキスト入力や手書きスケッチから3Dデータを生成するツールも開発されています。これにより、専門知識がなくても、AIが自動でデザインを補完して3Dモデルを作成してくれます。
こうしたAIツールの活用で、アイデアを3Dデータに一旦起こしてみることができ、作成の敷居がさらに下がっています。
このように、3Dデータ作成方法はより多様で手軽になり、初心者からプロまで幅広い人が利用できるようになっています。3Dプリンターと組み合わせて、アイデアを形にするプロセスがますます身近になっているのです。
2024年秋に注目の3Dプリンターおすすめモデル
この記事が書かれた2024年11月現在、ブラックフライデーセールが各社で行われています。
オススメの機種を予算別にご紹介します。
10万円以下
Bambu Lab A1 Combo
試しに買ってみるか、という用途には十分すぎる機能で激安
匂いや音はそのまま放出、室温が低いと出力不安定かも?
10万円以下でフィラメントの種類よりもマルチカラーを使いたいならおすすめ
- 4色までのフィラメントを自動で入れ替えてマルチカラー出力してくれる超おすすめオプション(AMS lite)を追加して69,800円(ブラックフライデーセール)
- 本体だけ(A1)なら48,800円(ブラックフライデーセール・2024年12月6日まで)
- 造形サイズ:256 x 256 x 256 (mm)
- 自動キャリブレーション
- Wifi対応
- カメラ付き
- タッチスクリーン
- 静音
- 囲いがないので匂いはそのまま放出
- 推奨フィラメント:PLA、PETG、TPU、PVA
- 非推奨のフィラメント:ABS、ASA、PC、PA、PET、カーボン/ガラス 繊維強化ポリマー
Creality K1C
高速印刷のエンクロージャタイプがこの値段は激安
匂いも問題なし、低温でも出力安定
10万円以下でマルチカラーが必要無くていろんなフィラメントを使いたいならコレ
- 67,000円(ブラックフライデーセール・2024年12月2日まで)
- 多色フィラメント入れ替え機能は無し
- 造形サイズ:220x220x250 (mm)
- 自動キャリブレーション
- Wifi対応
- カメラ付き
- タッチスクリーン
- 静音・空気清浄機付き
- エンクロージャ付きで出力安定
- 推奨フィラメント:ABS, PLA, PETG, PET, TPU, PA, ABS, ASA, PC, PLA-CF, PA-CF, PET-CF
- 主要なフィラメントはだいたい出力可能/カーボン系フィラメントに対応
10万円~20万円
Creality K1 MAX
筆者が日常的に使っているモデル
高速印刷&エンクロージャタイプで30cm立方が出せる
LiDARセンサーがとても優秀で成功率がとても高い
遠隔で出力したり複数人で使うなど、成功率を上げたい場合にオススメ
- 105,000円(ブラックフライデーセール・2024年12月2日まで)
- 多色フィラメント入れ替え機能は無し
- 造形サイズ:300x300x300 (mm)
- 自動キャリブレーション
- Wifi対応
- カメラ付き
- LiDARセンサーでキャリブレーションすることで土台への密着や流量のコントロールを行う
- タッチスクリーン
- 静音・空気清浄機付き
- エンクロージャ付きで出力安定
- 電源が強化済なので今後発売される拡張オプションに対応
- 推奨フィラメント:PLA, Hyper PLA, PETG, ABS,TPU,ABS,PA
- 主要なフィラメントはだいたい出力可能/カーボン系は非対応
Bambu Lab P1S Combo
高速印刷のエンクロージャタイプ&多色フィラメント入れ替え機能付きが激安
ポリカーボネートなどの強度の高いフィラメントが非推奨
- 多色フィラメント入れ替え機能(AMS)つきのComboバージョンが123,000円(ブラックフライデーセール・2024年12月6日まで)
- 造形サイズ:256x256x256 (mm)
- 自動キャリブレーション
- Wifi対応
- カメラ付き
- タッチスクリーン
- 静音・空気清浄機付き
- エンクロージャ付きで出力安定
- 推奨フィラメント:PLA、PETG、TPU、PVA、PET、ABS、ASA
- 非推奨フィラメント:PA、PC
20万円~
Bambu Lab X1-Carbon Combo
フィラメントの対応範囲がとても広く強度の高いフィラメントにも対応
LiDARセンサーで成功率も高い
造形サイズがすこし小さいがそれ以外は現時点で最強のコストパフォーマンス
- 多色フィラメント入れ替え機能(AMS)つきのComboバージョンが219,000円(ブラックフライデーセール・2024年12月6日まで)
- 造形サイズ:256x256x256 (mm)
- 自動キャリブレーション
- Wifi対応
- カメラ付き
- LiDARセンサーでキャリブレーションすることで土台への密着や流量のコントロールを行う
- タッチスクリーン
- 静音・空気清浄機付き
- エンクロージャ付きで出力安定
- 推奨フィラメント:PLA、PETG、TPU、ABS、ASA、PVA、PET、PA、PC、カーボン/ガラスファイバー強化ポリマー
- 主要なフィラメントに加え、カーボン系も出力可能
まとめ
セールでなくても最近はかなり安くなってきていますが、ブラックフライデーなどのセールがあると、さらにお得感が増しますね。
お仕事に活用するための法人向けセミナーも行っているので、ご興味がある方はぜひご参加ください。
個人的にとてもBambulab X1C欲しいですね……置き場所確保せねば……(筆者の物欲の声)