3Dプリンターってどんなやつ? / デジファブコラム 第1回
かつては専門の技術者や大手企業のみが扱える高価な機械だった3Dプリンター。しかし、近年の技術革新により、手頃な価格の家庭用モデルが登場し、一般の人々でも手軽に利用できるようになりました。個人の趣味から、教育、ビジネス、さらには医療や建築といった分野にまで活用の幅が広がっています。
従来の製造方法では、大量生産向けの設備や金型が必要で、試作品を作るにも時間とコストがかかることが一般的でした。しかし、3Dプリンターはデジタルデータをもとに一つずつ立体物を作り出すため、試作品の制作や少量生産において大きなメリットがあります。
また、技術の進歩により、プラスチックだけでなく金属、セラミック、食品、さらには生体材料までもが3Dプリントできる時代になりつつあります。本記事では、そんな3Dプリンターの基本概念とその可能性について解説していきます。
3Dプリンターとは?
3Dプリンターは、デジタルデータをもとに立体物を作る装置
基本的な特徴
通常のプリンターが「インクを紙に印刷する」のに対し、3Dプリンターは「素材を積み上げて立体を作る」のが特徴です。
既存の製造方法(削る・型に流し込む)とは異なる「積層造形」によって、途中にくびれのある形状など、「刃が入らない」「型が抜けない」形状でも実現可能です。
3Dプリンターの活用シーン
- 試作品の制作(プロトタイピング)
製品開発のスピードアップ(例:メーカーがデザインの検証を迅速化)
- 個人のものづくり・DIY
自分でデザインしたオリジナルの雑貨や工具、コスプレ衣装を作れる
- 教育・学習
学校での教材(地理、建築、生物の模型など)
- クリエイター向け
アクセサリー・アート作品・フィギュアの制作
3Dプリンターの基本的な動作の流れ
3Dデータを準備(モデリングソフトで設計)

スライシング(データを3Dプリンターが読める形式に変換)

プリント開始(機械が指示に従って積み上げ)

完成後の後処理(必要に応じて研磨や組み立て)

3Dプリンターのメリット・デメリット
メリット
- 少量生産がしやすい(1点ものを作るのに向いている)。
- 形状の自由度が高い(通常の方法では作れない複雑な形も可能)。
- 材料の無駄が少ない(必要な部分だけを造形するのでエコ)。
デメリット
- 造形時間がかかる(1つのオブジェクトに数時間~数十時間かかることも)。
- 強度や精度に限界がある(従来の製造技術と比べて弱い場合も)。
- データ作成にスキルが必要(3Dモデリングを学ぶ必要がある)。
3Dプリンターの可能性
3Dプリンターは、かつて専門の技術者や企業向けのツールでしたが、現在では一般の人にも手が届く技術になっています。趣味やビジネス、教育といった幅広い分野で活用され、これまでにない新しいものづくりの可能性を提供しています。
「作りたいものを、作りたいときに作れる時代」がすぐそこまで来ています。アイデアを形にする手段として、3Dプリンターはますます重要な存在になっていくでしょう。まずは簡単な活用事例から触れてみることで、その可能性を実感できるかもしれません。
デジファブコラム
デジタル工作機械を使ったものづくりについて、やさしく解説するコラムを始めました。
次回は、3Dプリントの仕組みや、造形方式の違い(FDM, SLA, SLS など)について解説します。
お楽しみに!